2022.07.14

成果を出すための“確からしい”戦略設計

SEO対策とは、Google の検索結果上での顧客とユーザーとのコミュニケーションを円滑にすることによって、顧客のWeb サイトへの流入を増やし、集客数や問い合わせ数を増加させるマーケティング手段です。

企業や事業の経営にあたっては戦略が重要であるというのは周知の事実ですが、SEOにおいても戦略が非常に重要だという考えは、いまだあまり浸透していないかもしれません。

2000年にGoogle 検索が日本語対応して以降、SEOは有効なマーケティング手段としてマーケターに広く認知されています。しかしながらSEOには、20数年の歴史の中で何度か転換があり、現在のようなコンサルティングが重視されるようになってからは、比較的歴史が浅いと言えます。そのため「戦略はこう組み立てればいい」という確立したものはいまだ存在していませんし、Google のアルゴリズムが頻繁にアップデートされることから、戦略の立て方や戦術への落とし込み方も、それに合わせて更新していく必要があると考えられます。

そこで本記事では、当社が考える現在のSEO戦略の考え方を紹介します。自社のSEOの戦略を第三者に明確に伝えられない方にとって、見直しのきっかけになれば幸いです。

プロフィール:増田 光恵(ますだ みつえ)
2007年にサイバーエージェントに新卒入社。営業局長、SEMコンサルティング局長、ソーシャルメディア局長を経て、2021年4月に株式会社AViCに参画。現在はSEO領域を担う第2マーケティングDX本部の本部長としてSEO事業を統括している。

戦略なき戦術は成果につながらない

SEOの手法には様々なものがありますが、闇雲に打ち手を実行した結果、費用(工数)対効果が見合わずにSEO対策自体を諦めてしまった経験をされた方も少なくないと思います。我々は戦術に落とし込む前の“戦略設計”こそが肝であり、その戦略を踏まえた施策の優先順位付けと、それによりどのくらいの成果が出せるかの見込みをあらかじめ出すことまでが重要だと考えています。以下にて詳細に解説します。

当社の提供する、初期段階のSEOコンサルティングのプロセス

どこで戦うのか という戦略策定

SEOの戦略を立てる上では、まずどこで(どのキーワードで)戦うのかを探り、決める必要があります。我々は、それを企業の「経営マター」と「マーケティングマター」の2つの側面から見極める必要があると考えます。

経営マターとは、企業の事業自体に関わることです。たとえば不動産会社の場合。不動産“賃貸仲介会社”のA社と、不動産“ポータルサイト”のB社を比べると、サイトに掲載されている物件量は、B社のほうが圧倒的に多いはずです。B社はポータルサイトという立ち位置で、複数の事業主の物件を掲載しているからです。そのため、物件量が重視されるような検索意図を持ったキーワードでは、A社はB社を抜くことは難しい、ということになります。

こういった事業自体を変えないと対策できない領域を、我々は「経営マター」と呼んでいます。先ほどの不動産会社の例で言えば、経営マターが変わらない中で物件数が重視される検索意図を持ったキーワードに対策を施しても意味がありません。それを差し引いた部分が「マーケティングマター」であり、戦略を立て、戦術に落とし込むことができる領域です。

続いて、対策するキーワードを絞り込むためには、ベンチマークしている競合他社の状況を把握し、その他社の戦略を読み取り、自社はどこで戦い、勝っていくべきなのかを探っていく必要があります。

その上で理解しておくべきことは“Googleが評価するSEO要素はキーワードの種類によって変わる”という点です。Googleは検索されたキーワードに適したサイトの評価を「Page Quality(ページクオリティ)」「Needs Met(ニーズメット)」「Score Loss(スコアロス)」の3つの要素で行います。


Page Quality:そのページ/ドメインの専門性・権威性・信頼性(E-A-Tと定義される)を評価する指標。主に外部からの評価で決定すると考えられる。被リンク数(外部のサイトから自分のサイトへ向けられたリンクの数)や指名検索数(会社名・サービス名の検索数)などが影響する。

Needs Met:そのキーワードで検索したユーザーのニーズにどの程度応えられているかを測る指標。コンテンツの質や量が影響する。

Score Loss:Googleにコンテンツが正しく認識されないなどのマイナス要素がないかの評価指標。


 

また、キーワードの種類は、単体キーワードと掛け合わせキーワードに分類できます。「賃貸」のような単体キーワードは、意味が広く曖昧なことから、Googleがユーザーの検索意図を読み取りにくいキーワードと言えます。そのためGoogleはPageQuality(サイトの権威や信用)を重要視する傾向があります。一方、「賃貸渋谷」のような掛け合わせキーワードは、ユーザーの検索ニーズを読み取りやすいため、GoogleはNeedsMet(サイトのコンテンツ)を重要視する傾向があります。

単体キーワードは検索数が多いため、そこで検索結果上位に掲載できれば圧倒的なトラフィックを獲得できますが、その実現のための対策難易度は高いです。競合と比較した際にあまり大きな差がない、もしくはそこを戦略的に強化している他社が存在しない場合には、単体キーワードでの上位掲載を狙うことを検討します。

これに対して掛け合わせキーワードは、検索数は少なくなるものの、幅広いキーワードを対策対象にして、コンテンツの量や質を上げていくことで、幅広いキーワードからトラフィックを獲得することも可能です。また、NeedsMetへの対策はPageQualityへの対策よりもコントロールしやすく、難易度は低いと言えます。

どこで戦うのか-という戦略策定

このように、自社の強みや競合他社の対策の強弱を踏まえ、どの軸の掛け合わせキーワードを対策していくのかを検討します。

現実的に狙える順位の把握

最終的に対策キーワードを選定するにあたっては、各キーワードにおけるポテンシャルを算出することが重要です。各キーワードで狙える順位と、その掲載順位を実現できた際に見込めるトラフィック数、およびそこからCVまでに至る数を算出します。この工程では「現実的に狙える順位を把握すること」がポイントの一つとなります。

「現実的に狙える」とはどういうことかを説明します。Googleのアルゴリズムには「QDD(Query Deserves Diversity:多様性のある検索結果)」という、検索キーワードに含まれる検索意図に様々な可能性が考えられる場合に、検索結果に表示させるページに多様性を持たせ、様々な選択肢をユーザーに与えるロジックが組み込まれています。

たとえば“モニター”というキーワードで検索した際には、「商品点数」「おすすめ商品」「専門的な知識」「商品比較情報」などのニーズにそれぞれ応えるように、検索結果にはショッピングモール、家電量販店、メーカー、メディアなどの様々な事業会社が並びます。つまり、メーカー企業が“モニター”で対策した場合に現実的に狙える順位は、メーカーが掲載される場所における1位が、蓋然性高く狙える最上位であると定義できます。

AViC

このように難易度とポテンシャルを考慮した上で、対策キーワードの優先順位を決めることを推奨します。

施策に落とし込む際には差別化を意識

対策キーワードが決まったら、次は施策へ落とし込んでいきます。対策キーワードを検索した際の検索結果、特に上位に掲載されるベンチマーク企業の情報からGoogleのアルゴリズムを紐解き、打ち手を導き出していくのです。

具体的には、Googleが(≒検索ユーザーが)何の情報を求めていて、どういう情報でニーズを満たそうとしているのかを、検索結果上位の各サイトページの内容やコンテンツ量から推測していきます。特に「単体キーワード」は検索意図が多岐にわたり抽象度が高いため、その中でもどのようなニーズを満たしているサイトが高い順位を獲得できているのかを、ベンチマーク企業のサイトコンテンツを調査して当てを付けることが重要です。

このようにして導いた検索意図に対して、自社でニーズを満たすためのコミュニケーションプランニング、およびサイトの増強を進めていく必要があるのですが、その際に意識していただきたいのが、自社の独自情報・独自データなどを用いてコミュニケーション設計をすることです。独自性が低い場合には、競合他社から模倣されて簡単に同質化されてしまうからです。自社で行ったマーケット調査や顧客アンケートデータなどがあり、コミュニケーションとして有効であれば、積極的に活用しましょう。

掛け合わせキーワードは検索意図がわかりやすいため、対策として新たにその検索意図に応答できる記事ページを作成する手段が一つの有効な施策となりますが、その際にも上位に掲載されている他社のベンチマーク企業のサイトコンテンツを確認し、ただ同質化するだけではなく、加えてどう“差別化”するかを意識してコンテンツ設計することが非常に大事です。

精度の高い“確からしさ”の追究

「どこでどういう成果を狙ってSEOを行うのか」を明確にすることで、何をモニタリングし、何をもって評価をするのかも明確にすることができ、会社としてSEOにどのくらいの投資をすべきなのかの判断もしやすくなります。SEOは時間と労力はかかってしまいますが、享受できるメリットは大きいため、しっかりと戦略を考えた上で施策に落とし込むということを、ぜひ意識して実施していただきたいと思います。

また、SEOにおいては“明確な正解”があるわけではなく、客観的に集められるデータから仮説を立てて“確からしいもの”を見つけ続けていく必要があります。当社も様々なお客様へのサポートを通じて、成果を出すための精度の高い“確からしい”戦略設計を提示できるよう、今後も挑戦を続けてまいります。

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