2024.01.26

AIの力で、動画広告のクリエイティブを定量分析!広告運用×クリエイティブ改善で、広告効果は大幅UP
〜坂井建設株式会社のCre Tech Force活用事例〜

新潟県で注文住宅を手がける坂井建設株式会社は、2016年からマーケティングのデジタルシフトを推進。自社ホームページにお客様を集めるべく、SEOをはじめWeb広告に注力し、集客を大きく伸ばすことに成功しました。
更なる効果創出に向けて目をつけたのが動画広告。PDCAを回す中で課題を感じたのはクリエイティブの改善でした。
そこでAViCが提供する新サービス『Cre Tech Force(クリ テク フォース)』を活用。AIによる分析を元に仮説を立て、クリエイティブを改善したところ広告効果は大きく改善しました。
同社でCMOを担う古川氏にデジタルマーケティングの取り組み、『Cre Tech Force』の導入と成果、および活用状況や動画広告の効果についてお話を伺いました。

マーケティングのデジタルシフトで新規顧客数は倍増

―事業内容と、これまでどのようなマーケティング活動を展開してきたか聞かせてください。

坂井建設株式会社/ディテールホーム CMO・Webディレクター
古川 和茂様
(以下、省略)
新潟県内で注文住宅の設計・施工をしています。1948年に土木事業からスタートした会社ですが、現在は売上の8割を住宅が占めています。
マーケティング活動はチラシや看板などの紙媒体をメインに、広告を投下していました。私が当社に入社したのが2016年。もともと東京でインターネット広告代理店にいたこともあり、目に見えない広告宣伝はなるべく減らしませんか?と提案し、デジタルへの転換を図りました。

自社ホームページにお客様を集めるべく、Web広告をスタート。SUUMOやHOMESといった外部のメディアも積極的に活用しました。SEOにも注力し、自然流入を大きく伸ばすことに成功しました。
結果、3年間で毎月の資料請求件数は10倍に、新規顧客数と着工棟数は倍増しました。

 

動画広告をスタートするも、クリエイティブの分析・改善がネックに

―2018年には動画広告もスタートしたようですね。どのような経緯で始めたのでしょう?

その頃、デジタルマーケティングによってある程度の件数を獲得できるようになってきました。
より売り上げを伸ばすには認知度をあげる必要があると考え、新潟県内でのテレビCMをスタートしました。動画広告はテレビCMをそのまま配信しました。
広告というのは【ターゲティング×クリエイティブ】の世界。ターゲティングは昨今、AIや運用の自動化が進み、精度が改善されていますが、クリエイティブはどうしても自前で考えて作る必要がありますよね。
他社との差別化を図るにはクリエイティブに注力せざるを得ない。静止画の一本やりではなく、動画も武器として手に入れたいという考えもあり、取り組みを始めました。

 

―動画広告の効果の変遷も教えてください。

2018年当初はテレビCMをそのまま動画広告にしたので、資料請求という効果はあまり得られませんでした。

そこでフリーで制作を請け負っている方の力を借りて、資料請求へと至るよう、クリエイティブを作り変えました。競合の出稿が少なかったこともあり、獲得に至りやすく、成果は順調に上がっていきました。
ただ時間の経過と共に競合も増え、獲得が難しくなってきました。
加えて、住宅市場の縮小も進んでいます。現在、日本全国で30万戸の新築住宅が建設されていますが、2040年には15万戸へと半減するとの見立てもあります。家を建てるニーズが減っており、獲得に至りづらいという環境要因もあります。
クリエイティブの精度を高めないことには、お客様の獲得が難しい。これまで展開してきた動画広告が見飽きられ、効果も摩耗してきた感覚がありました。
新しい展開を求め、2023年頭にデジタル広告に特化した制作会社に依頼することを決意。効果分析から制作までを一気通貫でお願いすることにしました。

 

―クリエイティブの刷新で、広告効果に変化はありましたか。

ありました。CVRが改善し、少しずつ獲得できるようになってきました。ただここで新しい課題が出てきました。分析面と制作面での課題です。
人の目で動画という複雑なクリエイティブを分析すると、結果の要因や改善のための仮説を立てる上で、”感覚や憶測”が占める部分がどうしても多くなります。結果的に、改善アクションの精度が低くなってしまうという分析面での課題です。
それは制作面での課題にも繋がりました。仮説に曖昧さが多いがゆえに、制作側との意思疎通が難しく、制作ディレクションに掛かる工数が静止画と比較して大きく発生してしまう。この点にストレスを感じていました。

憶測・仮説が占める部分をできる限り減らし、定量的に分析をすることができれば広告効果は高まるのではないか。そう思っていた時、新しく『Cre Tech Force』という動画広告のクリエイティブ分析サービスの提案をいただきました。

AIが自動でクリエイティブの分析をしてくれる新サービスと聞いて、私の感じていた課題にマッチするのではないかと感じました。チャットGPTをはじめAI界隈が盛り上がっている中、新しいもの好きの血が騒いだので(笑)利用してみることにしました。

動画広告のクリエイティブ要素をAIが自動解析。定量的なパフォーマンス分析で、改善策を見出しやすく、効果も改善

―『Cre Tech Force』での分析レポートを見て、どのように感じましたか?

今まで言語化できていなかった部分が可視化されたレポートが出てきたので、かなり驚きました。

例えば『Cre Tech Force』では、「開始5秒間は効能効果、事例で構成されています」といった具合に、動画の要素を細かくカテゴライズし、表示比率を出してくれるんです。

通常ABテストではポイントを変えると比較ができないので、一部分だけを変えて比較しますよね。

ところが『Cre Tech Force』では、カテゴリーごとの比率を出すことで異なる動画でも比較ができる。動画Aの効果が良かったのは、このカテゴリーのこの部分がよかったからではないか?と、仮説を見出しやすくなるんです。

カテゴリーが【物体】【テキスト】【音声】という3つの観点で構成されているのも新しい視点でした。少なくとも今までお付き合いしてきた制作会社から、こうした切り口で分析提案を受けたことはありませんでした。

―『Cre Tech Force』の分析をどのように活用し、クリエイティブを作り変えたのでしょう?

動画広告を複数本回していたので、効果の良い動画と悪い動画を比較し、良い動画特有の要素を抽出しました。
例えば、効果の良い動画は冒頭に「新潟」というキーワードが入っている。最初に「新潟で理想の家を建てたい方」と呼びかけることで視聴者が自分ごと化されるのではないかと仮説を立てました。
また、たくさんの施工事例・物件を見せた動画の方が効果的という分析結果も出ました。
そこでカタログをペラペラとめくりながら、たくさんの物件事例を見ているような表現に落とし込みました。もっと見たい方は資料請求をしてください、と。
効果の良い動画の構成要素を『Cre Tech Force』が分析し、分析結果を元に人が仮説を立ててクリエイティブを組み立てる。人の目では見逃してしまうような細かい要素も、AIなら見逃さずに細かく分析をしてくれます。
その結果を踏まえて訴求ポイントが際立つよう、動画を設計しました。

―作り直した動画で広告効果は出ていますか?

過去に制作会社に作ってもらった動画と、『Cre Tech Force』の分析を元に作り直した動画の両方で広告配信をしました。

結果、『Cre Tech Force』を元に作り直した動画の方がCTR125%、CVR135%、CPA59%と効果が高いことがわかりました。まだ実験的な取り組みではありますが、現時点では明確な違いが出ています。
また、動画と静止画という切り口で広告効果を比較したところ、動画の方がCPAが良いという結果も出ています。
実際、家づくりを検討されている方はInstagramのフィードに流れる動画やストーリーズの動画を参考にしている層が多いので、当社としては今後も動画広告には力を入れていきたいと考えています。

 

―『Cre Tech Force』を利用してみて、どのようなところに価値を感じましたか?

人間が分析をすると、どうしても担当者のスキルに依存する部分がありますよね。担当者が変われば、分析の仕方や観点も変わってしまう。その点、AIであれば分析の観点はブレることがありません

なおかつ、分析の結果はデータで示され、レポートという形で言語化されます。定量的な分析と明確な言葉によって、私の中に知見が溜まっていく感覚もあります。

とは言え、現時点でAIが対応できるのは分析まで。分析結果を読み解き、仮説を立て、新しいクリエイティブに落とし込むには人の力が必要です。この辺りまでAIで出力してくれて、スピードも精度もより上がると良いですね。今後の更なる展開、機能の拡充に期待しています。

 

―ありがとうございました。

<取材・文=藤井恵>

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